鶸ノート−うたと写真−


題詠マラソン2003 参加作品から12916首を厳選した、単行本。
「短歌、WWWを走る。題詠マラソン2003」が邑書林より出版されました。
拙作20首も掲載してあります。
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002:輪 ベーグルの輪をふふむ君がくちびるほどけてゆけりグルテンもろとも
007:ふと ふと過ぐす秋刀魚の色の美しく返りつ見れば秋のはじまり
013:愛 メロンパン形つくりし愛といふ小麦の生地が歯裏に纏ふ
024:きらきら きらきらと会話が弾む昼下がり大根一本はみ出してをり
029:森 両の手に甘き樹液が滲みてゆく砂糖楓の森に迷へば
033:中ぐらい 中ぐらい温きスープを抜け出でてバルサミコ酢の強き黒あれ
043:鍋 ぐちゃぐちゃに時が過ぎゆく心地よさ豆乳滾る白菜の鍋
052:冷蔵庫 冷蔵庫とびら閉ざされ肉たちはひたすら匂ひを交換しあふ
056:野 汝が淵の深き野生を嗅ぐごとくバジル青葉を強く毟りぬ
057:蛇 潰れゆく蛇のイチゴの軟らかく過ぎし言葉は淡きむらさき
058:たぶん 滾りたるチーズフォンデュの賑はひもたぶんは暗き胃の腑のもとへ
059:夢 マシュマロに追ひつめらるる夢見たり確かに柔き感触のあり
066:僕 寒鰤の下僕となりて大根の細胞甘く煮崩れてをり
071:待つ セロリ葉の青がしみじみ褪めてゆくミネストローネの滾るを待てば
085:銀杏 銀杏の深きみどりの粒の面 一家団欒写すかりそめ
089:開く スコーンの恋の一つが成就して嗚呼割れ開く狼の口
093:恋 熟したるトマトの皮を剥くやうに恋とは赤き果肉見るまで
095:満ちる イーストは四肢にくまなく満ちゆきてベンチタイムの汝れは眠りぬ
099:かさかさ かさかさのマフィンの皮に滲みてゆくシロップ見ればこころはしづか
100:短歌 噛んでなほ舌にほどくる黒パンにぴつたり挟む短歌が欲しい

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© 大畑靖夫
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